Water problems connect with everything.

JBIG、P.G.C.D. JAPANでは、2020年1月から6月まで「せっけんは地球を救う 子どもたちに届ける水100トンチャレンジ」を実施した。チャレンジの結果報告と、年々深刻化する世界の「水問題」を中心に、持続可能な社会の在り方について、JBIG、P.G.C.D. JAPAN代表の野田泰平とウォーターエイドジャパン事務局長の高橋郁(かおる)氏が語り合った。

ウォーターエイドジャパン 事務局長

高橋 郁(かおる)

高校時代に国際協力に関心を持つ。大学卒業後、流通小売企業に就職。英ロンドン大学東洋アフリカ研究所で開発学修士を取得後、緊急人道支援のNGOに入り、広報、マーケティングなどを担当。2012年より現職。

株式会社JBI GROUP(JBIG) 代表取締役CEO
株式会社P.G.C.D. JAPAN 代表取締役CEO

野田 泰平

1979年福岡県生まれ。2010年に株式会社P.G.C.D. JAPANを設立。「年齢を美しさに変える人」を増やすため、スキンケア・スカルプケアの商品を開発、販売。また、2019年にはホールディングス会社である株式会社JBI GROUPを設立。企業理念『Pay forward』を掲げ、“世界を幸せにする人を増やす”という使命のもと、サスティナブルな商品、サスティナブルな事業を創造し、社会と未来に貢献する。

「水」の問題と私たちの生活がもたらす地球の歪み

それぞれの「水」へのきっかけ

野田泰平(以下、野田) 今年、私たちのプロダクト開発の原点である「水問題」にまつわるアクションを起こしたいと考えていました。そこで認定NPO法人ウォーターエイドジャパンと事務局長の高橋さんにご相談させていただいたんですよね。

高橋郁(以下、高橋) 今回のキャンペーンの企画をいただいた際に P.G.C.D.JAPANの理念や想いを伺ったとき、私もすごく共感しました。水問題について真剣に考えている企業と新たな取り組みに挑戦できることが、とてもうれしかったです。野田さんはなぜ、水問題に関心をお持ちになったのでしょうか?

野田 僕は九州の生まれなんですけど、環境問題に関したことで1番最初に知ったのが水俣病なんですよ。水俣っていう地域で工場から流れ出た水銀を魚が食べて、その魚を人間が食べて水俣病になったという公害病です。でも、別に水俣の工場は人間を水俣病にしてやろうと思ったわけじゃなくて、何かしら人間に役立つことをずっと行っていたんです。しかし、それが回り巡って水俣病を引き起こしてしまった。

また、僕が生まれた1979年には、琵琶湖で「石鹸を使いましょう」という石けん運動が起きたんですよ。琵琶湖が汚染されている原因が、一般家庭から排出される合成・化学原料入りの生活排水で、その中には化粧品もあったんです。その事実を知って、とてもショックを受けました。人を美しくしていると言うわりに、それだけ地球を汚していて、何がその人にとって嬉しくて、何が幸せで、そんな生き方がその人らしいんだろうと思ったんです。そんな価値観や考え方で生きるのはおかしいんじゃないのかって。

だから、僕はプロダクト自体をシンプルにして、最終的にゼロになる石鹸に着目して、このプロダクトで本当に人も地球も美しくすることができたらなって考えたんです。僕のこのビジネスのスタートにはずっと水がある。それをなんとかいろんな人に伝えたいと思っています。

 

高橋 それが、「人も地球も美しく」というビジョンや今回のチャレンジにつながったんですね。

野田 そうなんです。本業とは別に、何か社会貢献しようと思って活動されている企業が多くありますが、事業自体が社会に貢献するようなビジネスであるべきだと、僕は思っています。僕たちは、石鹸を通して地球を救おうと日々活動しています。

そんな中、今年ウォーターエイドさんと一緒になって始めた、「せっけんは地球を救う 子どもたちに届ける水100トンチャレンジ※1」は、目標の水の量が500トンだったところ、最終的には合計で約900トンもの支援をいただきました。集まった寄付は、インドの安全な水を確保できない地域において、ウォーターエイドジャパンを通じて湧き水を利用した給水設備を設置する活動の支援や、公益財団法人日本ユニセフ協会を通じて浄水剤の寄付などに活用していきます。今は世界的なコロナ禍により、現地で工事ができない状況ですが、近い将来、必ず実施します。

チャレンジをはじめ、P.G.C.D. JAPANのスタートのきっかけが「水」にまつわるのですが、ウォーターエイドさんはなぜ「水」にフォーカスしようと思ったんですか?

高橋 ウォーターエイドの最初に設立された成り立ちも「水」という観点だったんです。1981年に設立されたのですが、当時、国連で、1981年から1990年までの10年を「国際飲料水供給と衛生の10年」とすることが決定されました。それに賛同したイギリス政府とイギリスの水道局の人たちが集まって話し合ったんです。その当時、世界的にも水のことを専門的に扱っている団体はあんまりなかったんですよ。だから、イギリス水道局の人たちがイギリスの人にきれいな水を届けるだけではなく、開発途上国の人たちにも清潔で安全な水を届けようということで募金して設立したのがウォーターエイドなんです。元々の成り立ちが「水」に関して専門的に活動をするために作られたんです。

もう一つの理由は、水って本当にいろんなことにつながっていますよね。健康、教育やジェンダーにもつながっています。例を挙げると、アフリカのある村では、子どもや女性が片道数時間をかけて毎日水を汲みに行っています。過酷な水汲み労働を強いられている人の多くは、女性や子どもたち。水汲みのために学校に行けず、十分な教育を受けられないため、将来、就ける仕事が限られてしまいます。女性が水くみに多くの時間を使わざるをえず、貧困から抜け出せないという悪循環を生み出してしまっているのです。また、きれいな水を飲めないことで、頻繁に下痢を繰り返して栄養を十分吸収できなくなったり、コレラなどに感染したりして、命を落としてしまう子どももたくさんいるのです。「水」は、本当にいろんな問題につながっているので、水の問題を解決することで、開発途上国の人たちの生活が変わっていくと思っています。そういう意味でも、やはり「水」から変えていくという考えをもとに「水」に特化して活動しています。

野田 日本の支援者の人たちには、どのような方たちが多いんですか?どういう想いで支援したいと思ってくださっているのでしょうか?支援者のことを知りたいです。

高橋 そうですね。私たちもまだきちんとマーケティングができていない部分もあるのですが…。お電話でお話していると、やはり水っていうのが本当に生きるために大事だということにすごく賛同してくださる方が多いと思いますね。生きるために不可欠なきれいな水を世界の人たちが飲めるようになって欲しいと。「水」にフォーカスしているというところに賛同してくださる方が多いと思います。

野田さんは、私たちの団体のどこに共感してくださっているんでしょうか?

野田 まず「水」にフォーカスしているところに共感を持ちました。先ほどもお話ししたように、やはり僕たちの考えている「水」というテーマと共通する部分が多くあると思ったんです。また、高橋さんがおっしゃられたように「水」をテーマにした活動やプロダクトをしている企業や団体って多くないんですよね。様々なプロダクトをつくるにしても、結局水を使用しているし、リサイクルをするにしても水を使っています。さらには、たくさんのものを輸入している我々にとっては、化粧品にもいろんな成分を使用していますが、その成分をつくっているのは日本ではなく、例えばアフリカとかでつくっています。その成分を作るためにはやはりアフリカの水を使っているわけじゃないですか。でも、アフリカの水問題に関して考えると、日本はそこに対してあまりサポートができていないし、結局は安い成分を仕入れるためだけにアフリカのものを使っているので、その国の水を使用しているんです。

日本人は水がたわわにあると思いながら、世界の水問題を見ようとしていないことに対して僕はすごく問題意識がありました。だから、ウォーターエイドさんという、まさに「水」をテーマに地球上の水の循環のことを考えられている方たちと、僕が持っている石鹸の思想がすごく近しいものがあるし共通点がたくさんあると思ったんです。本当に今回キャンペーンを一緒にできて素晴らしいなって思っています。

高橋 こちらこそご一緒できて、本当に嬉しいです。ありがとうございます。

※1【せっけんは地球を救う 子どもたちに届ける水100トンチャレンジ】

JBIG、P.G.C.D. JAPANにて、ウォーターエイドジャパン、公益財団法人日本ユニセフ協会の協力のもと行ったキャンペーンプロジェクト。キャンペーン内容の詳細ならびに結果は以下のURL参照。
JBIGキャンペーン専用ページ:https://www.jbig.com/action/soap2001/

「豊かさ」の背景にある開発途上国の犠牲

野田 現在、世界における水問題には、どんな課題があるのでしょうか?

 

高橋 約10年前、国連において「清潔で安全な水を利用することは人権である」と認められました。しかし、現在も世界では約7億8500万人の人々が清潔な水を使うことができません。清潔な水を使うことができない人たちがいるということは、その人たちの人権が守られてないということになります。衛生上の観点からだけではなく、様々な問題を引き起こしています。

野田 「清潔で安全な水を利用することは人権である」って言われているんですね。知らなかったです。

高橋 すべての人の権利なので、お金を持っていようがお金を持ってなくて水道料金の支払いができなくても、本来はきれいな水を使うっていうのは保証されなければいけないことなんですよね。でも、世界では7億8500万人もきれいな水を飲むことができない人たちがいるんです。

野田 そして、そういうところから「バーチャルウォーター※2」として私たちは水を輸入しているんですよね。以前、バーチャルウォーターのことをあんまり知らなかったんですけど、調べれば調べるほどひどい話で、ショックを受けました。日本は水が豊かだと思っていましたが、実は日本をはじめ先進国の多くが、水がないと言われているアフリカなどの開発途上国の貴重な水を自分たちの生活を豊かにするために奪っているという事実を知り、愕然としました。この経済循環は、本当におかしいと思います。

高橋 日本のバーチャルウォーター輸入量は、国内における年間水使用量と同程度と言われています。※3例えばコーヒー1杯飲むために必要なコーヒー豆をつくるのに使われている水は200L、お風呂1杯分。みなさんがコーヒーを1杯飲むということが、エチオピア産だったらエチオピアの水を200L使っていることになるんです。開発途上国によくある黄色いポリタンクが大体20Lなんですけど、子どもが一生懸命運んでいるポリタンク10個分を私たちはコーヒー1杯で使っていることになるんですよね。

野田 だからこそ、僕たちが掲げている「人も地球も美しく」っていうのは、自分のためだけじゃなくて、他の人にも地球にも貢献しなければいけないと思っています。しかし、現状を変える気もなく、大きく変えられない企業が多いことに懸念を抱いています。

 

例えば、最近沖縄のサンゴ礁について、白いサンゴ礁を見てきれいだと言っている方が多くいるのですが、実は白いサンゴって死骸なんですよね。それを見て綺麗だと言っていますが、もともと7色もの色があることも知らずに、白いサンゴしか知らない状況がその人の中の100点になってるんですよ。僕からすると現在のサンゴ礁は100点じゃなくて、30点くらいになってしまっているんです。

全ての分野において、今より良くしようとしているのではなくて、今をなんとかキープしようとしかしていないなと。企業も本業と違うところでちょっと何か社会貢献をするのではなくて、1番大きな本業そのものが地球を変えてくれるような大きな動きになることを行えばいいのにと思います。でも、日本企業の多くはそれができていないから、バーチャルウォーターという形で水を輸入している国になってしまっているんですよね。これだけ水が日本は無限にあるんですみたいに発信しているわりには、全く水問題に対して取り組んでいません。

 

高橋 おっしゃる通りで、残念ながら現代の人間の生活はどうしても地球をなんらか傷つけていて、様々なところに私たちの生活を支えるための矛盾や歪みがあると思うんです。そして、やはり最も犠牲になりがちなのが開発途上国の貧困層だったり、大変な状況にある人だったりという現状があります。例えば、気候変動の影響でいうと、日本も雨の降り方がだんだん異常になっていますけれど、ある程度は治水などの対策がなされているので、災害による被害は軽減されていると言えます。開発途上国では、農村部に住んでいた人たちが仕事を求めて都市に移動し、都市部の人口が増えてくると、川縁や低地など、住みにくい場所に住まざるをえない人も出てきます。そのような地域では、大雨で洪水や浸水が頻発したり、さらには排泄物で汚染されて下痢が流行るといった影響が出ます。また、干ばつになると、唯一の収入となる作物が収穫できず、大事にしていた家畜を仕方なく売り、来年以降の収入が全く絶たれてしまうということもあります。

地球で現在進行している課題の影響を最も受けやすいのが貧困層である、ということを実際に目の当たりにしているからこそ、私たちはそういう人たちのために活動しているんです。でも、私たちの生活は地球だけじゃなくて、本当にいろんな人たちを犠牲にしながら成り立っているということを実感してしまいますよね。

※2【バーチャルウォーター】

食料を輸入している国( 消費国) において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものであり、ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授のアンソニー・アラン氏がはじめて紹介した概念。例えば、1kg のトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800 リットルの水が必要。また、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kg を生産するには、その約20,000 倍もの水が必要。つまり、日本は海外から食料を輸入することによって、その生産に必要な分だけ自国の水を使わないで済んでいる。言い換えれば、食料の輸入は、形を変えて水を輸入していることと考えることができる。

引用:環境省ホームページhttps://www.env.go.jp/water/virtual_water/

 

※3【日本のバーチャルウォーター輸入量】

日本のカロリーベースの食料自給率は40% 程度であるため、日本人は海外の水に依存して生きているといえる。つまり、日本はバーチャルウォーターの輸入を通じて海外とつながっており、海外での水不足や水質汚濁等の水問題は、日本と無関係ではない。2005 年において、海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量は、約800 億立方メートル(※1)であり、その大半は食料に起因している。これは、日本国内で使用される年間水使用量と同程度。
※東京大学生産技術研究所 沖教授らのグループでは2000 年のデータをもとに約 640 億立方メートルという値を算出している。今回の推定値は、データを2005 年に更新した上で、木材等新たな産品を追加し、沖教授の指導を受け、環境省と特別非営利活動法人日本水フォーラムが算出したものである。

引用:環境省ホームページhttps://www.env.go.jp/water/virtual_water/

つくる者、つかう者、「自分事化」で世界は変わる

「知る」ということが解決への一歩

野田 高橋さんをはじめとするウォーターエイドの方々が実際に現地に行って井戸をつくるなどの活動をされていますが、日本にいてできることって寄付以外にも何かないですか?

高橋 まず一つは、「水」についての課題があるということを知って、そして広めてもらいたいと思います。水が生きるために大事ということは理解されているのですが、日本だと10秒歩けばどこかに水道があり水が得られますから、水があることが当たり前になりすぎて、清潔な水を簡単に得ることができないという生活をしている人たちがいるということに意識を向けられない現状があります。まずはいろんな人に世界の水問題の課題について知って、そして広めてもらいたいと思っています。

野田 ウォーターエイドさんは、 40歳くらいの支援者の方たちも多いとお伺いしたのですが、P.G.C.D. JAPANのお客様も40代の方たちがメインのボリューム層なので、ウォーターエイドさんとすごい親和性があるんじゃないかなという風に思いました。今回のチャレンジを通して、ウォーターエイドさんのことをもっと知って欲しいなって思っていますし、僕たちのお客様が今まで以上に水に対して問題意識を持って考えてもらえるようなことができたらいいなと思います。

でも、なぜバーチャルウォーターをはじめ、こうした水にまつわる問題や地球上で起こっているひずみについて、なかなか一般に知られていないのでしょうか?

高橋 これらの問題は、あまりに当たり前になり過ぎてしまって、改めて注目されることが少ないように感じています。特に、水問題は年々深刻になっているのですが、国際社会の中でも、新しいトピックになりにくい。特に日本では、「水に困る」といったことはほとんどないので、興味が湧きにくく考える機会が少ないのだと思います。

 

私たちの団体は、水・衛生専門の団体として、専門性を活かした質の高い活動をしていると自分の団体ながら思っているのですが、水問題について、より多くの方々に知ってもらうにはどういう工夫をしたらいいのかということに対して、もっと考えていく必要があると思っています。

だから、企業さんと連携をさせていただいて、私たちが直接声をかけることができない人たちに知ってもらうというのはすごくありがたいです。そして、そこからどう広げていくかというアイデアは企業さんから色々アイデアを頂きながら、いろんな人に知ってもらうという取り組みを一緒にできたらいいなと思っています。でも、やはり一人一人の意識が大事だと思います。

野田 「自分事化」できていないんですね。でも、皆が関心を持たなくなったら、水問題の解決に取り組む人がいなくなってしまいます。「水問題を放っておいたら駄目だ」と思う人を増やさないといけないですよね。

高橋 ウォーターエイドでは、毎年、国連で定められた「世界水の日(3月22日)」に、啓蒙活動を行っています。青いものを身につけた写真に「#Blue4Water」というハッシュタグを付けて、SNSに投稿してもらったり、東京ビッグサイトなどの大規模施設をブルーにライトアップしたりといったアクションを起こしており、多くの方々に参加してもらいたいと思っています。

野田 ウォーターエイドの活動や水問題について、もっと多くの人に知ってもらうために、私も何かできないかと考えてみました。そこで制作したのが、「Blue Soap Action」ステッカーです。乳がんのピンクリボンや赤い羽根などのように、わかりやすいシンボルをつくりたいと思ったんです。石鹸をご購入していただいたら、お客様にBlue Soapステッカーをお配りしていこうとしています。今後、水問題のシンボルマーク、アイコンとして世の中に浸透し、さまざまな団体や企業、問題意識を持つ人に使ってもらえればいいなと思っています。

高橋 すてきなアイデアですね! 私もウェビナーなどの開催を増やし、現地の人とオンラインで話をしたり、世界の水問題の現状や情報を発信したりして、たくさんの人に水問題を考えてもらう機会を作っていきたいです。

「モノを買う」ことは「生き方」の選択

野田 化粧品業界においても、バーチャルウォーターのように、生活を豊かにするための矛盾が生じています。日本では、一家庭のお風呂場に、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメントなど、約3.6本ボトルが並んでいるんですよ。つまり、洗い流すために3.6回も水を流しているんです。髪を洗うためだけに。

高橋 実はシャワーって1分間使うと水を約10L消費するといわれていますが、これは開発途上国の子どもや女性が、1回の水汲みで持ち帰る水の量(約20リットル)の約半分に相当しますよね。私たちは気軽にシャワーを浴びることができますが、同じ量の水を得るために子どもたちが学校に行くことも諦めて、友達と遊ぶことも諦めて、2時間3時間と歩いて水汲みに行っています。同じ地球上なのに、水の大切さが違うということを感じます。

野田 そうなんですよね。さらに、女性のスキンケアアイテム数も現在平均で6.8アイテムで、この5年間で減っているわけではなく増えているんですよ。技術が進化して便利になっているっていうわりには、モノの数は減るどころか増える一方でおかしくないのかと思うんです。

これらの矛盾を解消したくて開発したのが、サボン モーヴです。シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメントが全部1つの石鹸で完結できます。だから、3.6回洗い流す水が1回ですむし、さらに石鹸なのでゼロになってゴミも出ません。詰め替え用もなければ、洗い流した水を濾過するための水など、結果的に全ての水の使用量が3.6分の1になるんです。

僕は、シンプルにすることがイノベーションだと考えていて、もっとゼロにできることをしましょうという発信をしています。

高橋 御社からご支援いただけるということで、御社の商品とかコンセプトのお話を聞いて、BtoCのビジネスモデルで、こんなに環境問題の改善を目指した事業を展開しているのは素晴らしいと感じました。環境問題に力を入れている企業からご支援いただくって、本当に嬉しいなって思いました。

野田 先ほども少しお話ししましたが、昨今、日本でもSDGs(持続可能な開発目標)が浸透しつつあり、CSR(企業の社会的責任=社会貢献活動)を進める企業も増えています。ただ、ほとんどの企業は、主幹事業とCSRを分けて行っている。本来であれば、会社の基幹事業そのものが地球環境に優しいものでないと、SDGsもCSRも表面的な取り組みだけになってしまうのではないかと懸念しています。つまり、事業自体が社会に貢献できるビジネスであるべきだと考えています。

高橋 あくまでも主観ですが、「持続可能な社会に変える」ために、私たち消費者も企業も、まだできることが多くあると思います。企業だけに変化を求めるのではなく、私たち消費者も、商品やサービスを選ぶ際に、持続可能な社会について考えて、選択する必要があると思います。

一方でどうしても消費者からすると、「安さ」を求めてしまい、企業もそれに応えようとしてできるだけコストのかからない方法で生産しようとしますよね。でも、その裏には、劣悪な環境で労働を強いられている人がいたり、環境に大きな負荷をかけている場合だってある。企業は、今後、持続可能な社会につながるビジネスが求められていくと思いますし、自分を含め消費者としては、生活をしていく上で「価格」は大切ですが、安さに飛びつく前に一度立ち止まって考えることも重要なのではないでしょうか。

野田 最近では、消費行動の世界的な流れとして「ヘルシー」がキーワードになっていきていると感じます。ここで言うヘルシーとは、健康だけの意味ではなく、「自分らしさ」を表しています。自分が消費するものの生産過程や環境への影響などを知り、購入時に取捨選択をしていくという価値観です。

僕たちの石鹸も決して安くはないんですよ。でも、金額が高いとおっしゃる人もいれば、結局安いよねっていう話をしてくださるお客様もいます。なぜかというと、例えばスキンケアでは平均6.8アイテムも購入して毎日その分の工程を行うのに比べて、P.G.C.D. JAPANの商品なら2ステップで完了しますから、購入しなくなった分安いよねっておっしゃられるんです。たくさんの数のアイテムを使いたい消費者がいるのではなくて、結局そういう形で売っているのはメーカーなんですよね。メーカーは本来であれば「モノを増やす生き方やめよう」という発信をしなければいけないのに、売れやすいからという理由でモノを増やしていく。

消費者の人たちが、自分のためだけじゃなくて、その消費行動が人も地球も、経済循環のためにも、さらには世界中の人権のためにも、「自分の生き方は本当にヘルシーなんだろうか」ということをぜひ考えて、自分で選択して欲しいですね。それは、「生き方の選択」であると言っても過言ではないでしょうし、消費者のそういう行動によって企業も世界も変わると思います。

高橋 おっしゃる通りですよね。そうした価値観が、商品を選ぶ際の基準として広まればと思います。

SDGsのゴール12に「つくる責任 つかう責任」があります。つまり、つくる側(企業)は責任を持って持続可能な形でものを作るという責任と、つかう側(消費者)はものを買うときには持続可能なものであるかをきちんと考えて買いましょうと提示されているんです。

SDGsを生き方の一つとして選択する人が増えれば、世界はより良い方向へ変わっていくと思います。

▲P.G.C.D. JAPANは、事業を通じた社会貢献をはじめとした活動が評価され、2020年9月に「EO Tokyo Central ESG Award 2020」の『優秀賞』を受賞した。

 

野田 ぜひ変えていきたいですね!

最後にP.G.C.D. JAPANやキャンペーンを支援していただいたお客様、そして対談記事を見ていただいている方にメッセージをいただけますか。

高橋 まずはご支援いただいて、本当にありがとうございます。

先ほども申し上げましたが、なかなか私たちが開発途上国の水問題について一生懸命話をしても、広範囲の人たちに届かないところがあるので、P.G.C.D. JAPANさんとのキャンペーンのように、企業を通じてより広範囲で多くの人たちに水問題の課題について知ってもらえるというのは本当にありがたいことです。これから水問題はどんどん深刻になっていくのですが、国際社会の中でも、水問題が当たり前の問題になりすぎて、注目されにくい現状があります。そして、本当にみんなが関心を持たなくなったら、解決しなくていい問題になってしまいます。多くの方々に水の問題を知ってもらって、ちゃんと考えて行動しないといけないと感じてくれる方が増えることが、水問題を解決する一歩になります。

ぜひこれをご覧になった方々には水問題について調べてみたり発信をしたりしていただきたいです。本日はありがとうございました。

野田 僕たちも今後、ウォーターエイドさんの活動がもっと世の中に知ってもらえるように、そして水問題についてたくさんの方に考えて行動していただけるように活動を続けていきたいと思います。こちらこそありがとうございました。

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  • P.G.C.D. JAPAN

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